
黄金の島が見えた。
みんなが上陸の準備を始める。
Stayが言った。
「I’ll stay on the ship(船に留まります)」
Stay——「留まる」という名を持つ者。
深い青の髪、静かな瞳。
動かないことが、彼の生き方だった。
その日、Dreamが戻ってきて、金色の石を見せた。
「本当に金の洞窟があったの!」
Stayは微笑んだ。
本当は、見たかった。
金色の洞窟。不思議な植物。冒険の興奮。
けれど、夕方に風が変わった。
雲が速く、鳥が慌てている。
「嵐が来る。」
Stayはひとりで帆を下ろし、物を固定した。
みんなに知らせるべきか?
——でも、船を離れたら守る者がいなくなる。
「I must stay(留まらなければ)」
嵐が来た。
波が船体を叩き、風が帆を裂く。
Stayはただ、そこに立っていた。
やがて、みんなが慌てて戻ってきたとき、
船はすでに嵐を受け止める形に整っていた。
「Stayのおかげだ!」
嵐が去った夜、静かな海の上で、Stayは星を見上げて言った。
「I stay because staying is also moving forward(留まることも、前に進むことだから)」
矛盾のようで、真実だった。
船が進めるのは、誰かが留まるから。
動かない錨があるからこそ、航海は続く。
Goが動き、
Comeが呼び、
Stayが守る。
その三つが揃って、旅は物語になる。
——留まることは、停滞ではない。
——根を張ることだ。
—— 鴉