
港町の朝市は活気に満ちていた。
Blankは仲間たちと物資の調達に出かけていた。 Canが新鮮な野菜を選び、Haveが必要な道具を確認し、Doが重い荷物を運ぶのを手伝う。
人混みを抜けたところで、見覚えのある後ろ姿を見つけた。 日に焼けた肌、旅装束、肩に担いだ大きな荷物。歩き方にも見覚えがある——小さな歩幅、規則的なリズム。
「Journey」
呼びかけると、男は振り返った。 髭が少し伸び、目尻に新しい皺が刻まれていたが、あの落ち着いた眼差しは変わらない。
「よう、Blank」
名前で呼ばれて、Blankは一瞬驚いた。
「俺の名前を……」
「港で噂を聞いた。名前のなかった少年が、今は船長の片腕だって」
Journeyは小さく笑った。
二人は市場の石段に腰を下ろした。 Journeyは新しい靴紐を結び直しながら、これまでの旅を語った。
「北の山脈で冬を越した。雪に閉ざされた村で、暖炉を囲んで夜通し語り合った」
彼の目が遠くを見る。
「春になって、南へ向かった。砂漠を越えて、石の塔を見た。星を観測するための、古い遺跡だった」
Blankも船での冒険を話した。 嵐の夜、未知の島、不思議な生き物たち。仲間と共に乗り越えた日々。
「いい顔してる」
Journeyが言った。
「山も海も、違う景色を見せてくれる。でも、歩くことは同じだ」
Blankは船への同行を誘った。
「一緒に来ない?新しい島がたくさんある」
Journeyは立ち上がり、荷物を背負い直した。
「ありがたいが、俺には俺の道がある」
彼は西の山を指さした。
「あの向こうに、まだ見ぬ峠がある。それを越えたくてうずうずしてる」
別れ際、Journeyは小さな石を取り出した。 表面は滑らかで、夜になると薄く光るという。
「北の山頂で拾った。船の上で星を見るとき、思い出してくれ」
Blankも貝殻のペンダントを渡した。
「遠い島で拾った。海の音が聞こえるって言われてる」
Journeyはそれを耳に当て、微笑んだ。
「確かに、波の音がする」
人混みの中を歩き去るJourneyの背中を、Blankは見送った。
山も海も、空の下でつながっている。 それぞれの道を歩みながら、同じ星を見上げている。
自由とは、そういうことだ。