
存在が薄れる恐怖
BlankとHaveが、古い灯台の地下室で奇妙な体験をしていた。
「なんだか、ここにいると…ぼく、消えそうな気がする」Haveが震え声で言った。
Blankも同じ感覚に襲われていた。自分の手を見ても、そこにあるのかないのか分からない。存在が薄れていくような恐怖。
「僕たち、本当にここにいるのかな」Blankがつぶやいた。
壁が揺らぎ、床が不確かになる。二人とも、自分という存在が溶けていくような感覚に囚われていた。
金色の光を放つ人形
部屋の奥で、かすかな金色の光が見えた。
近づくと、そこには小さな人形が座っていた。1歳くらいの赤ちゃんの姿。金色のふわふわした髪。性別は分からない。ただ静かに、でも確かな存在感を放って、そこに在った。
人形は動かない。目を閉じて、膝を抱えるように丸まっている。でも不思議なことに、その周りだけは空間がしっかりしている。
「赤ちゃんの人形…」Haveが息を呑んだ。
名前が響く瞬間
Blankの頭に、言葉ではない何かが響いてきた。
『…』
声ではない。でも、確かに「呼んで」という意志を感じる。そして、名前が自然と浮かんできた。
「Be」
Blankが名前を呼んだ瞬間、人形に命が宿った。
変身と存在の証明
「んー…あー…」
赤ちゃんが目を開けた。大きな瞳が二人を見つめる。そして、心に直接メッセージが響いてきた。
『I am… you are… we are』(私は在る…あなたは在る…私たちは在る)
「聞こえた!心の中に!」Haveが驚いた。
Beがハイハイで近づいてきた。そして突然、姿が変化した。
女の子の赤ちゃんになり、「わたし…Am…」と小さく言った。
『I am here. I am now』(ここに在る。今在る)
次の瞬間、男の子の赤ちゃんに変化。
「ぼく…Is…」
『Everything is. Nothing isn’t』(すべては在る。在らないものはない)
さらに変化。双子の赤ちゃんの姿に。
「ぼくたち…わたしたち…Are…」
『We are together. You are not alone』(一緒に在る。一人じゃない)
Blankが理解し始めた。「You are showing us… be動詞?」
元の姿に戻ったBeが、にこっと笑った。
「あー!」
Haveが恐る恐る聞いた。「We are real?(ぼくたち、本物?)」
Beがつかまり立ちをしながら、小さく頷いた。
「んー」
『You are. Always were. Always will be』(在る。ずっと在った。これからも在る)
光に包まれた確信
地下室が金色の光で満たされていく。Beの存在そのものが、空間を安定させていた。
「不安が…消えた」Haveが驚いて言った。「ぼく、確かにここにいる!」
Blankも自分の手を見つめた。確かにそこにある。存在している。
Beがまた変化を始めた。
Am姿:「I am happy!」(幸せ!)
Is姿:「He is kind!」(彼は優しい!)
Are姿:「We are family!」(家族!)
そして元の姿に戻り、よちよち歩きで二人の間を行き来する。
「あー、あー!」
『Being is simple. Just be』(存在はシンプル。ただ在れ)
時々転びそうになりながらも、Beは楽しそうに動き回る。その無邪気な姿に、二人の心がすっかり和んでいた。
新しい仲間の誕生
「Be、僕たちの船に来ない?」Blankが優しく誘った。
Beが首を傾げた。
「んー?」
『Ship?』(船?)
「うん、みんなで旅をしているんだ」Haveが説明した。
Beがぱちぱちと手を叩いた。
「あー!」
そしてまた変化。
Am姿で:「わたし、am ready!」(準備できた!)
Is姿で:「Ship is home?」(船が家?)
Are姿で:「We are going!」(行く!)
元の姿に戻ると、両手を上げて抱っこをせがんだ。
『I am where needed. Ship needs being』(必要な場所に在る。船には存在が必要)
Blankが優しく抱き上げる。軽いけれど、確かな存在の重み。
「じゃあ、一緒に行こう」
「あー!」
Beが嬉しそうに声を上げた。小さな手がBlankの顔をぺたぺたと触る。
『We are already together』(もう一緒に在る)
今回のキー表現
1. “I am / You are / We are / He is / She is / It is”
- Be動詞の基本形すべて
- 存在を表す最も重要な動詞
- 存在についての究極の問い
- 「在るか在らないか」
- 今ここに存在することの宣言
- 最もシンプルで力強い表現
- 共に在ることの確認
- 孤独じゃないことの証明
- ただ在れ、という究極のメッセージ
- 余計なことを考えずに存在を受け入れる
Be動詞は英語の土台。すべての文の基礎となる、最も大切な動詞。Beという特別な存在が、その本質を教えてくれた。存在への不安を抱えていた二人は、Beとの出会いを通じて「ただ在る」ことの大切さを学んだ。これからの航海で、この小さな仲間がどんな存在の光を放つのか、みんな楽しみにしている。