霧の朝、Comeが叫んだ。
「Come here for breakfast!(朝ごはんに来て!)」
——誰も来なかった。
Comeは「来て」と呼ぶ言葉。
いつも明るく、「Come on!」「Come here!」と声をかける。
でもその日、初めて知った。
呼んでも、来てもらえないことがある。
みんな忙しかった。
Haveは荷物の整理、Canは料理の仕込み、Doは掃除。
「後でね」と言われた。
Nameが近づいてきて、静かに言う。
「Sometimes people can’t come(時には来られないこともある)の。」
Comeは理解した。
「来る」には、時間がいる。
すぐじゃなくても、気持ちがあれば、いつか来てくれる。
夕方、Doが走ってきた。
「Come! I came!(来たよ!)」
続いてHave、Can、みんなが集まる。
「We wanted to come(来たかったんだ)」
Comeは微笑んで言った。
「Thank you for coming(来てくれてありがとう)」
呼ぶことと、来ること。
そのあいだには、時間と沈黙がある。
けれど、その沈黙こそが、つながりを作る。
霧が晴れ、夕陽が差す。
誰かの足音が近づく。
——呼ぶ声は、誰かが来て初めて、声になる。
—— 鴉