
第1章:音のない世界
霧深い朝、船は奇妙な静寂に包まれた島に到着した。
Musicは甲板から島を見つめ、不安そうに眉をひそめた。
「I can’t hear any music here…(ここには音楽が聞こえない…)」
上陸すると、その異様さがはっきりした。 人々は無言で動き、足音すら立てないよう注意深く歩いている。
Danceが困惑して言う。 「How can I dance without sound?(音なしでどう踊れっていうの?)」
島の案内人が、ジェスチャーだけで「静かに」と示した。
第2章:沈黙の掟
島の集会所で、長老が筆談で説明した。
『10年前から、音を立てることは禁じられています』 『音は悪霊を呼ぶと言われています』
Musicは悲しそうに首を振った。
「But silence is also music…(でも沈黙も音楽なのに…)」
Designが筆談で応じる。 『音のないデザインなんて、色のない絵みたいなものよ』
その夜、Musicは考え込んでいた。 音楽は音だけではない。リズムも、間も、そして沈黙も音楽の一部。
第3章:無音の音楽会
翌日、Musicは島の広場で「無音の音楽会」を開いた。
指揮者のように手を動かし、リズムを視覚的に表現する。 人々は最初戸惑っていたが、次第に体が揺れ始める。
Danceが理解した。 「I can dance to silent music!(無音の音楽でも踊れる!)」
彼女の優雅な動きが、見えない音楽を可視化していく。
Designも加わる。 「I’ll design visual rhythm!(視覚的なリズムをデザインするわ!)」
布を使って、音の波を表現し始めた。
第4章:心の音楽
子供たちが最初に変化を見せた。
声は出さないが、胸を叩いて心臓の鼓動でリズムを作る。 足踏みはしないが、体全体でリズムを表現する。
「Music lives in your heart(音楽は心の中に生きている)」
Musicは手話のような動きで伝える。
一人の老女が涙を流しながら、10年ぶりに体を揺らし始めた。 声にならない歌を、体で表現している。
第5章:音の解放
三日目の夜、奇跡が起きた。
一人の少年が、たまらなくなったように小さく口笛を吹いた。
島民たちは凍りついた。 悪霊が来る—
しかし、何も起きなかった。
Musicが優しく微笑む。 「Sound doesn’t bring evil. Fear does(音は悪を呼ばない。恐れが呼ぶの)」
少年の母親が、震え声で子守歌を歌い始めた。 10年間、心の中でだけ歌っていた歌。
第6章:音楽の帰還
堰を切ったように、島に音が戻ってきた。
笑い声、歌声、楽器の音。 10年分の音楽が、一気に溢れ出す。
Danceは喜びの踊りを舞い、 Designは「音のある世界って素晴らしいわ〜」と感激し、 Musicは幸せそうにハープを奏でた。
「Music was always here(音楽はずっとここにあった)」 「In your silence, in your hearts(あなたたちの沈黙の中に、心の中に)」
島の長老が深く頭を下げた。 「音楽を恐れていた私たちが愚かでした」
出発の朝、島には活気が戻っていた。 市場では商人が声を張り上げ、子供たちは歌いながら遊んでいる。
「Remember, music is everywhere(覚えていて、音楽はどこにでもある)」 「Even in silence(沈黙の中にさえも)」