
◆あらすじ 「みんなで歌う」というIdeaの種を胸に、自信を失った歌姫を探す一行。森の奥で見つけた歌姫と、新たに解放されたSingが、失われた歌声を取り戻していく。
Search
朝霧が立ち込める森の奥へ、捜索隊が進んでいく。
昨夜の露が葉っぱから滴り落ち、地面を湿らせている。鳥たちの朝の歌が、どこか寂しげに響いていた。歌姫を失った森は、音楽の一部を失ったようだった。
Watch「I’m watching for any signs(何か兆候がないか見張ってる)」
鋭い目つきでWatchが周囲を見回す。折れた枝、踏み跡、何か手がかりはないか。
Ask「I’ll ask the villagers for clues(村人に手がかりを聞いてくる)」
茶色のポニーテールを揺らしながら、Askが村人たちに質問を始める。
「最後に見たのはいつ?」「どんな様子だった?」「好きな場所は?」
矢継ぎ早の質問に、村人たちは記憶を辿る。
Listen「声なき声も聞こえるかも」
銀色の長い髪のListenが、静かに耳を澄ます。風の音、鳥のさえずり、葉擦れの音、そして——
「…誰かの泣き声?」
かすかに、本当にかすかに、すすり泣くような音が聞こえる。
「こっちから」
Discovery
森の奥へと進んでいく。朝霧が濃くなり、視界が悪くなってきた。
Watch「I’m watching… there!(見張ってる…あそこだ!)」
巨大なガジュマルの木の根元、複雑に絡み合った根の間に、膝を抱えて座る女性の姿があった。
島で一番美しい声を持つと言われた歌姫。でも今は、声を失った小鳥のように、小さく震えている。
Ask「Can I ask what happened?(何があったか聞いていい?)」
優しく、でも真っ直ぐに尋ねる。
歌姫がゆっくりと顔を上げる。涙の跡が頬に残り、瞳は赤く腫れていた。
「歌えなくなったの…声は出るけど、心が…」
震える声で、やっとそれだけを絞り出す。
Listenが隣に座り、静かに耳を傾ける。急かさず、ただそこにいる。銀色の髪が朝の光を受けて、優しく輝いていた。
Confession
しばらくの沈黙の後、歌姫の声が葉擦れのように小さくなる。
「前の祭りで、失敗したの。大事な場面で音を外して、みんなをがっかりさせて…」
手で顔を覆う。思い出すだけでも辛そうだった。
「それから怖くて。また失敗したらって思うと、声が震えて…」
「練習しても、人前に立つことを想像するだけで…」
Listen「恐怖が声を閉じ込めている」
静かに、でも確信を持って言う。
「歌は完璧じゃなくてもいいのに」
Hope「I hope you can sing again(また歌えることを願う)」
優しく励ますが、歌姫は首を振る。
「もう無理よ…」
Sing
その時、Blankが近くの茂みで何かを見つけた。
朝露に濡れた葉っぱの間に、小さな人形が立っていた。
歌っているような姿勢の人形。口を優雅に開け、胸に手を当て、まるで今にも美しい歌声が聞こえてきそうなポーズ。瞳は閉じられ、歌の世界に没頭しているかのような表情。
『わたしの名前を呼んで』
『歌いたい…心から歌いたい』
Blank「Sing」
「君の名前はSingだ」
名前を呼んだ瞬間——
人形の瞳が音符のように輝き始めた。閉じられていた口から、美しいハミングが溢れ出す。
純粋な喜びと共に、森に響き渡る声。
「♪〜〜〜♪」
言葉はない。ただ純粋な旋律だけ。でもそれが心に直接響いてくる。
「Singing is joy!(歌うことは喜び!)Singing is sharing!(歌うことは分かち合い!)」
くるりと回りながら、また歌い始める。鳥たちが応えるように鳴き始めた。
Healing
Singは歌姫に近づいた。歌いながら、踊るような足取りで。
「声が震えてる?」
歌姫が小さく頷く。
Sing「Let’s sing together(一緒に歌いましょう)」
「No words needed, just sing!(言葉はいらない、ただ歌って!)」
簡単なハミングから始める。
「ん〜〜〜」
低い音から、ゆっくりと。歌姫が恐る恐る口を開く。
Canが優しく手を取る。
「You can do this(あなたならできる)Small steps(少しずつ)」
歌姫が小さく口を開く。最初は本当に小さな声。蚊の鳴くような音。
でもSingのハミングに合わせて、少しずつ、少しずつ声が出始める。
「ん…ん〜…」
Sing「Feel the singing, don’t think about it!(歌を感じて、考えないで!)」
「Singing comes from the heart!(歌は心から生まれる!)」
Together
歌姫の声が少しずつ大きくなっていく。
震えていた声が、安定し始める。Singのハミングと重なり、美しいハーモニーが生まれる。
「本当に…歌えてる…」
頬に光るものが一筋。でも今度は喜びの涙。
「私、歌えてる!」
歌姫「あなたも一緒に歌ってくれる?」
祭りの時も、ずっと。
Sing「Of course! Let’s all sing together!(もちろん!みんなで一緒に歌いましょう!)」
Have「I have sheet music from Music!(Musicからもらった楽譜を持ってる!)」
小柄なHaveが、大事そうに楽譜を取り出す。
決意を込めて宣言する。
Give「I’ll give my voice!(私の声をあげる!)」
Hope「I hope our voices unite!(声が一つになることを願う)」
森に歌声が響き渡る。
上手い下手じゃない。音程がずれていても構わない。みんなが心から歌っている。それが美しかった。
鳥たちも歌に加わる。風も木々も、森全体が大きな合唱団のようだった。
Harmony
夕方、広場に戻ってきた一行。
島の人々が待っていた。期待と不安の入り混じった表情で。
Music「The music is ready(音楽の準備はできてる)」
楽器を並べ、指揮棒を構える。
Dance「I can dance to singing!(歌に合わせて踊れる!)」
すでに体を揺らし始めている。
歌姫が深呼吸をする。一度、二度、三度。
そして、みんなの前で歌い始めた。
最初の一音が、透明な水のように広場に広がる。澄んだ声が夕暮れの空に響く。
Singがハーモニーを加える。
「Let’s sing together!(一緒に歌いましょう!)」
二つの声が絡み合い、より豊かな音楽になっていく。
島の人々が涙を流しながら聞き入る。
「歌が…帰ってきた…」
子供たちも一緒に歌い始める。音程は合っていないけれど、その純粋さが歌に新しい層を加えていく。
でも、まだ何かが足りない。
Idea「I have another idea!(別のアイデアがある!)」
種を投げながら言う。
「Beautiful singing needs beautiful costumes!(美しい歌には美しい衣装が必要!)」
確かに、みんな普段着のままだった。
Dream「I dream of colorful costumes!(カラフルな衣装を夢見る!)」
祭りまで、あと3日。
音楽も歌も戻ってきた。次は、祭りを彩る衣装の番だ。
今回のキー表現
- I can sing! – 歌う喜び
- Singing is sharing – 歌は分かち合うもの
- Let’s sing together – 一緒に歌う大切さ
- Feel the singing, don’t think – 考えずに感じること
- Everyone can sing – 誰もが歌える
完璧じゃなくていい。失敗を恐れずに、心から歌うことの大切さ。VocabDollsの仲間たちは、歌姫に勇気を与え、島に歌声を取り戻しました。