メインストーリー(第一部)– tax –
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第5章 Do ―とにかくやる
山の麓で、少年は立ち止まった。 目の前には険しい岩場が続いている。垂直に近い壁、ゴツゴツした岩肌、落ちれば大怪我は免れない。 右に行けば迂回できそうだが、どれだけ遠回りになるか分からない。左は崖になっている。まっすぐ登るしかないのか。 考え... -
第4章 Hope ―希望を失わない
川のせせらぎが聞こえた。 森を抜けると、開けた川原が広がっていた。 少年は水音に引かれて歩き、冷たい水で顔を洗った。汚れと疲れが流れ落ち、久しぶりに人間らしい感覚が戻ってくる。喉を潤すと、体中の細胞が水を求めていたことに気づく。 でも、立ち... -
第3章 Can ―できることを知る
森の中は薄暗く、湿った匂いが立ち込めていた。 三日目の朝、持っていた食料は底をついた。 最後の乾パンを口に入れ、水筒の水で流し込む。これで、もう何もない。 木の実らしきものは見つかるが、どれが食べられるのか分からない。赤く艶やかな実を手に取... -
第2章 Get ―道を手に入れる
道は二つに分かれていた。 倉庫を出て半日ほど歩いたところで、少年は立ち止まった。足元の草は両方の道に同じように踏まれ、どちらも使われている証拠だった。 黄ばんだ地図を広げる。線は擦れて薄く、東も西も判然としない。森への道筋らしき印はあるが... -
第1章 Have – 持つことから始まる
倉庫の朝は静かだった。 昨夜の出来事が夢のようで、でも胸ポケットには確かに花がある。朝露がまだ花弁に残り、触れるとひんやりとした。その冷たさが、すべてが現実だったことを教えてくれる。 Nameが指さした方向には、確かに道が続いていた。木々の間... -
第一部 プロローグ: Name – Say my name
少年は疲れていた。 足の裏は破れ、血が靴下に染み込んでいる。空腹はいつものことだったが、全身を覆う疲労はすでに限界に近かった。喉は乾き切り、唇はひび割れて小さな傷からにじむ血の味が口に広がっている。 森の中で立ち止まり、樹皮に手をついた。...
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